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動的平衡 つけたし

前回のブログを読むと、福岡伸一博士の本は、えらくむずかしいことを書いているような印象になってしまいました。

でも実際は、わかりやすい言葉で面白くいろいろなエピソードをまじえて、生物学研究の内情などが、書いてあります。

面白かったのは、(「生物と無生物の間」だったでしょうか)ノーベル賞獲得レースについてです。

科学的な発見と、それを論文として発表する(有力な科学誌に発表してもらえる)タイミング、そして運・不運が、ノーベル賞をとれるかとれないかに関わってくるとか・・・
同じ大きな発見をしたり、その発見に至る地道な研究を重ねていても、結局は陽の当たらぬ場所で終わってしまう人もいる。

海外でのノーベル賞レースって、そんなに大変なんだということと、獲得するためにそれほど必死な人たちがいるんだというのは驚きでした。

他にもいろいろな面白いエピソードがたくさん。

千円札にも印刷されて、代表的な偉人と言われている野口英世。
しかし彼が発見したことは、今の視点で見ると間違いだらけ。
人格もあまり芳しくない。

なぜお札に採用されている? というエピソード。

私も、夏目漱石のほうがよかったな。

また別の話題で、少し難しくなりますが、「動的平衡」のなかのこんな言葉があります。

「私たちはしばしば生命現象をあまりに単純な「メカニズム」として見がちである。この陥穽を、生化学者ルドルフ・シェーンハイマーは「ペニー・ガム」思考と呼んで批判した。自動販売機にペニー硬貨を入れると、ガムが出てくる。ならばペニーがガムに変わったと言えるのかと」

「ペニー・ガム的な、インとアウトを付き合わせただけの線形思考からは何も見えてこない。
これは何も消化管内だけのことではない。世界のあらゆる場所に、容易には見えないプロセスがあり、そこではグジャグジャの、つまり一見、混沌に見えて、その実、複雑な動的平衡が成り立つリアリティが生じているはずなのだ。
私たちは今一度、それを直視するための勇気と、それを定量しうるだけの思考の解像力を求めなければならない」


動的平衡のことは前回のブログで言ったので、簡単な事実を言いますと、つまり、ペニー・ガム的な考えで、サプリメントなどを飲んでも、それは体内に入ったときから、違うものに変換されてしまうということらしいのです。

つまり、コラーゲンをいくら飲んでも、それが体内でコラーゲンのままでいるわけではない。
お肌が即ツルツルになるわけではない。

グルコサミンやコンドロイチンをサプリで摂っても、膝が良くなるわけでもない。

そんなに簡単なことではないのです。

これを知ったとき私は、頭のなかで、今まで自分が買い漁ったサプリメントの金額を積算してしまいました。
あぁ・・・・。

つまり、食べ物の形で摂るときに、栄養素というのは、その力を最大限発揮するのだそうです。

高いサプリを買う必要なんかなかったんですね。


さて、気を取り直しましょう。

たとえ人間がどんな気持ちでいようと、ジタバタしようがすまいが、季節は移り、春になります。
季節もそう、生物もそう、植物もそうです。
すべては流れ、変化しています。


湯島天神の梅は、「梅祭り」が終わる頃に満開になりました。

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神社の階段には、絵灯籠が並べてあります。

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絵は、葛飾北斎。
北斎・・・いいですね。

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花粉に負けず、春を楽しみたいものです。


身体と季節


唐突に夏が終わり、唐突に秋になりました。
今日は中秋の名月。
でも台風がきているので、見られそうにありません。

人間が自然の一部である限り、人間の身心も、自然と離れては存在できません。
季節によって、身体の調子が変化するように、心の状態も変化します。

以前、精神療法関係の団体の事務局にいたことがありますが、毎年、必ず電話が増える時期がありました。
それも、あきらかに「その話ちょっとおかしい」というような電話が増えるのです。

そうすると、あぁ、春が近い・・・と感じたものです。
「木の芽どき」と言います。
2月末から3月、身心のバランスが崩れやすいときなのでしょう。

そして、これからの秋冬、人の心が「うつ」的になりやすい季節です。
「季節性うつ」と言いますが、日照時間が短くなることと関係があるようです。

何か暗い方向にしか考えられなかったり、どんよりとしてしまったり・・・

しかしそれをあんまり「困ったこと」ととらえると、またまた心配事が増えてしまいます。
自分のせいではなく、季節と身体との相互作用と思えば、活動量を控えたり、自分なりの工夫をしてその時期をやり過ごすことができます。

あんまりムキになって「対策」しないことも「対策」かもしれません。

たとえば「うつ」的だから楽しい曲を聞いて気分をあげようとか、それも適度ならいいのですが、落差が激しいとますます疲れてしまったりということがあります。

芸術鑑賞とか、映画、音楽でも適度に同じムードのものに浸ることで癒される部分もあります。
「悲しみが悲しみを癒す」ということもあるのです。

さて、あまりにも酷夏だった今年の夏が終わり、今は少しホッとして、センチメンタルになる時期かもしれません。

夏の終わり(といっても、もう10月ですが)の私の定番。
「8月の濡れた砂」です。

これは70年代の学生運動や若者文化の終焉の時期に流れた歌であり、その世代の青春の終わりを象徴する歌でもあります。

      
          

Born to run

私が最後に走ったのはいつのことでしょう。
それこそ遠い目になって考えてしまいます。

今、走るとしたら、信号が赤になる!というときに小走りになるだけ。
まったくスポーツ系の人間ではないので、そういう志向もありませんでした。

こんな自分がまさかランニングの本を読むなんて・・・

この本を勧めてくれたのは友人です。「絶対に面白いから!」 
その本とは「Born to Run 走るために生まれた」クリストファー・マクドゥーガル著

かなりのロングセラーのようです。
読み始めましたが、何とも読みにくい本です。
人の名前がたくさん、地名がたくさん、溢れてくるカタカナ文字。
マイルを頭のなかでキロメートルに換算しつつ読み・・
人名くらい一覧にしといてくれてもいいじゃないか・・・とぼやきたくなり・・

ところが、それなのに・・・

読みだしたらやめられない。


目からウロコの話ばかり満載です。
ランニングについての新しい知見、そしてウルトラマラソンのレース実況のようなリアリティ溢れる描写。
個性的なランナーたちが本のなかで生き生きと走ります。


知らないことばかりでした。

本の中心は、メキシコの山岳地帯にいるタラウマラ族という「走る民族」の話。
彼らはフルマラソンの何倍もの距離を、楽しみながら、身体のどこを痛めることもなく走るのです。
そのタラウマラ族と、米国のウルトラランナーたちとの競争がお話のフィナーレです。


それにしてもウルトラマラソン(普通のマラソンより長い距離を走るレース、100キロ以上のものもある)というものがあるということも初めて知りました。
そしてマラソンでは、距離が長くなればなるほど、男女差がなくなるそうです。
この物語のなかでも、ウルトラマラソンでタラウマラ族と最後まで競い合う女性ランナーが出てきます。


人間は「長距離走マシン」なのではないかという仮説も出てきます。
進化して二足歩行になった人間の最大の武器は「走る」ということではなかったのか。
人間は、古来から獣を走って追い詰めて狩りをしていたのではないか。
実際、今でもそういう狩りをしている部族があるといいます。


長距離ならば馬にも負けない!
米国には、50マイルの「マンアゲインストホースレース」というのがあり、人と馬が競争し、そしてここ何年かは人が勝っているといいます!
秘密は人間の呼吸にあるようです。

なるほど・・・日本の明治以前にあれだけ飛脚が活躍したのは、もしかして馬より早かったからでしょうか?


ではなぜ人間は走らなくなったのでしょう?
ランニングするとすぐ足を痛めるのでしょう?
それは「靴」に原因があるらしいのです。
ナイキやアディダスといったブランドの、エアーが入ったシューズは本当に足にいいのか?
そんな問題提起もあります。


とにかく先入観をくつがえされることばかり。


「走るために生まれたと思わないとしたら、あなたは歴史を否定しているだけではない。あなたという人間を否定しているのです」

「人は年をとるから走るのをやめるのではない。走るのをやめるから年をとるのだ」


読み終わると、走りたくなる―――そういう感想が多いのも納得。


あ、でも、私は急には走りませんよ。
年寄りの冷や水。
まずは歩くことからですね。


                 

                    

プロフィール

Author:岩田 真理
心理セラピストをしています。臨床心理士。
昔は編集者をしていました。

森田療法が専門ですが、ACや親との問題は体験的に深いところで理解できます。
心のことだけでなく、文化、社会、マニアックな話題など、いろいろなことに興味があります。

もしも私のカウンセリングをご希望でしたら、下のアドレスにメールをください。
info@ochanomizu-room.jp

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