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暴力というもの

このところ、ニュースでは、部活での体罰、スポーツチームでの体罰などのことが、盛んに議論されています。

私にとっては、これが「議論」の対象になるということ自体、驚きです。

ましてや、ニュースになっている高校の卒業生で、体罰を受けたことを支持する発言をする人がいるということにもびっくりしました。

もちろん、暴力をふるう側も、それだけでなく相手に愛着を感じているのでしょうし、受ける側も、暴力を受けながら「これは相手の愛情の表れなのだ」と感じることもあるでしょう。

暴力をめぐって、そういう複雑な心理が介在することもあります。


しかしそれでも、暴力は犯罪です。

他人(もちろん家族も)への、すべての暴力は犯罪だという、しっかりとした認識を私たちは持たないといけないのではないでしょうか。

なぜかといえば、そういう認識がないとき、暴力を受けた側が泣き寝入りをしたり、ただ我慢するだけだったり、あるいは「自分が悪い」と思ってしまったり、ということが起こるのです。


暴力を受けて、泣き寝入りをしている人たちは、たくさんいると思います。

体罰を受け続けている生徒たち。
家庭のなかで親の暴力を受けている子どもたち。
あるいは子の暴力を受けている親たち。
DVで夫の暴力を受けている妻。
(あるいは妻の暴力を受けている夫・・・こういう例は実際あります)。

そういう人たちは日々、我慢し続けているのでしょう。


なぜならば、暴力というものは、たいてい強者から弱者に対してふるわれるものだからです。
殴る側は、相手が自分より弱い立場であることを知っていて、殴ります。
強い相手を選んで殴ったりしません。

抵抗できない相手だから、暴力をふるう。
私たちが日常見聞きする暴力とは、そういうものです。

泣き寝入りをするしかない相手だから、どなったり、殴ったりするのです。


そして、暴力をふるわれる側も、時としてそれを「当然」と思うこともあるのです。
相手からそのように扱われ続けていると、人間の自尊心はどんどん低くなります。

自分が悪いから、自分がおかしいから殴られるのだ、と思うようになるのです。
だから、逃げない。
甘んじて受け続けるということになるのです。


暴力に対処する一番の方法は、「逃げる」ことです。
相手から離れることです。

そして、暴力を受けたら、いつどんな場合でも警察に通報していいのです。


このところのいろいろな事件を見てみると、暴力を受けたときにいち早く通報したり、相談したりしていれば、その後のもっと大変なことも阻止できたのではないかと思うこともあります。

家庭のなかでもそうです。
最近は、警察も「家族内のこと」といってとりあわないということはなくなりました。
DVを受けたら通報する。
家庭内暴力は通報する。
それでいいのです。

そして被害を受けても誰にも訴えられない小さい子たちについては、おせっかいと言われようが、近くにいる他の人たちが、守ってあげる必要がある。


この文章を書きながら、なんだかものすごく基本的すぎることを書いているかしら、とも思いました。

でも、このようなシンプルなことがわからないから、あんな事件が起こるのですよね。


そして「事件」にならないまでも、あまり表面に出てこないながら、暴力が蔓延しているのは「家族」のなか、恋人同士の間でしょう。

支配―非支配 の関係がそこでは固定化したものになりがちだからです。


それにしても、人はなぜ、暴力で他者を支配しようとするのでしょう。

そんな根源的な問いを考え始めると、人間に内在した攻撃性というところまで、つきつめなくてはなりません。

しかし、今はひとまず、暴力からは逃げましょう、暴力は告発しましょうというシンプルなことを、常識的に書いておきたいと思います。


そして私たちは、それを子どもたちや、知らないで被害にあっている人たちに、伝えていければいいなと思います。



                    雪と木


プロフィール

Author:岩田 真理
心理セラピストをしています。臨床心理士。
昔は編集者をしていました。

森田療法が専門ですが、ACや親との問題は体験的に深いところで理解できます。
心のことだけでなく、文化、社会、マニアックな話題など、いろいろなことに興味があります。

もしも私のカウンセリングをご希望でしたら、下のアドレスにメールをください。
info@ochanomizu-room.jp

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