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気分本位 あれこれ その3

この頃、われながら「気分本位」だなと思うことがあります。

たとえば、何月に講演がある、何月締め切りの原稿があるなどというとき、自分の気持ちはそのことで緊張して、毎日「どう構成しよう」とか「どう書こう」ということが頭を占めるようになる。

また逆に、楽しいこと、例えば旅行とかライブとかが控えていると、「この楽しみまでがんばろう」という感じになってくる。

当たり前のことじゃないか、と言われそうです。

しかし具体的に言うと、原稿の締め切りが気になると、それまでは友人に誘われても「今たいへんだから、これが終わってから」と断る。

けれどよく見ると、そんなに毎日原稿のための勉強をしているわけではない。
現在は大作に取り組んでいるわけではないので、実はそれほど時間がないわけではない。

私はいつもギリギリの人なので、たいていは直前にダッシュで終わらせています。
(それはそれでいいと私は思っています。ただ自分の現在の能力を見極めないとたいへんなことになりますが)

つまり、何かに心を奪われると、自分がそのことで盛り上がってしまって、他の日常のことに目がいかない・・・ということですね。

これも神経質の人たちと同じかもしれません。

自分のなかの「これ」ということで、一人で大騒ぎになるのです。

こういうことって「気分本位」ではないでしょうか。

森田療法では毎日毎日を大切に生きる、ということを言われます。

ところが神経症になると、何か自分がおおごとだと思うこと、例えば、苦手な会議があるとか、苦手な戸締まりをしなくてはならないとか、ひとつのことに意識が集中して、大騒ぎになってしまうのです。

神経症ってある意味、自分の気持ちのなかだけで盛り上がっている状態ですよね。

結果、毎日の些事(ささいなこと)は、どうでもよいことになる。

つまり「おおごと」と、「どうでもよい」ことの差がすごく大きい。

これは、何か悩みを抱えているときも、同じ。
その悩みのことばかりが頭を占め、目の前のことにはあまり意識をもっていけない。

けれど、もっと視野を広くして、生活全体を見る目を持つと、「悩み」の重さも変わってくるのでしょう。

気分に押し流されず、「三日後の会議も大変だけれどその準備だけではなく、とりあえず散らかしてあった書類の整理でもしてみよう」とか、「明日のPTAはいやだけれど、でも今日の食事の献立をまず考えよう」とか・・・。

毎日の生活、つまらないと思えること、そんなことのなかで「工夫し」、興味や楽しさを見出す。
これが、「日々是好日」の状態ですね。

そんなふうに毎日が暮らせたら、私たちの生活はもっと流れにのったものになるのかもしれません。


         竹 3
プロフィール

Author:岩田 真理
心理セラピストをしています。臨床心理士。
昔は編集者をしていました。

森田療法が専門ですが、ACや親との問題は体験的に深いところで理解できます。
心のことだけでなく、文化、社会、マニアックな話題など、いろいろなことに興味があります。

もしも私のカウンセリングをご希望でしたら、下のアドレスにメールをください。
info@ochanomizu-room.jp

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