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思うようにならないこと

しばらくブログが滞ってしまいました。

それにしても、今度は北海道で地震。
北海道のかたがた、地震や停電、おそろしかったことでしょう。
お見舞い申し上げます。

日本に住んでいるなら、いつどこで地震や洪水にあってもおかしくない時代になってしまいました。

天災に遭う遭わないなんて、本当に「運命」としか言いようのないもの。
 
「運命」というと、「運命は切り開くもの」なんていう言葉を思う人もいるでしょうが、私はこんな森田の言葉を思い出します。

「成るべきになり、成らざるべきに成らない処の自然の運命に素直に服従して、余は余の天職のために、柔順に生き抜かなくてはならない」(久亥の思い出)

これは妻の久亥に先立たれたときの森田正馬の言葉です。
つまり「自分の思うようにならない自然の運命に素直に服従して、天職(医師)のために柔順に生きていこう」ということだと思います。

思うようにならない運命に服従するって、一見消極的に見えますが、この姿勢は大切なものですよね。
なぜなら、神経症になる人は、「思うようにならないこと」を思うようにしようとする部分があるからです。

他の人たちが「いやだなぁ、苦しいなぁ、でも仕方ない」と我慢していることが、「いやだ、いやだ、なんとかしないと我慢できない」というふうになるのです。
それでいろいろなことをするので、ますます事態は悪化していくということです。

たとえば、友人や周囲の人にちょっとイヤなことを言われる。
そんなことは自分の問題ではなく、相手の問題で、生きていれば必ず起きてくることです。
でも、それが許せない。
だから、そんなことを言われないようにパーフェクトな自分になろうと強迫的に努力する。

たとえば子どもを思うようにしたい親は、子どもが少しでも自分の意に反したことをすると、それが不安で我慢できない。 
なんとか、子どもをコントロールしようとする。

あるいは自分に何かの違和感を覚える。
自分の顔が赤くなる。顔が変だと感じる。人前で手が震える・・・。
そうすると、その違和感をなんとかなくそうと工夫する。

そんなことは、誰でもふとしたときに感じて、でも持ちこたえて、しかたなく我慢したり、あきらめたりしているものなのです。

「思うようにならないこと」は、私たちの周囲に満ち溢れています。
それをひとつひとつ不満に感じていて、闘っていたら、私たちはいつもイライラしていなくてはならない。

世の中は自分の思うようにならないことのほうが多いのかもしれません。

そんなときは、前掲の言葉を思い出してみましょう。

ちょっときつめの言葉で意訳すれば・・・・
「思うようにならないことには、しかたなく服従して、この世で自分のするべきことのために耐えて生き続ける」

地味だけれど、当たり前のことなのかもしれません。


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プロフィール

Author:岩田 真理
心理セラピストをしています。臨床心理士。
昔は編集者をしていました。

森田療法が専門ですが、ACや親との問題は体験的に深いところで理解できます。
心のことだけでなく、文化、社会、マニアックな話題など、いろいろなことに興味があります。

もしも私のカウンセリングをご希望でしたら、下のアドレスにメールをください。
info@ochanomizu-room.jp

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