再演(エナクトメント)
「再演」という用語は、心理療法において対人関係理解のために使用される言葉です。
「エナクトメント」「リエナクトメント」と呼ぶ人もいます。
精神分析、特に対象関係論の発展のなかから生まれてきた言葉のようです。
人は、人生初期に体験した人間関係のパターンを、その人生で繰り返す。
簡単に言ってしまえば、そういうことです。
もっとむずかしい説明もできますし、トラウマ的な出来事や治療者との関係に限定して語ることもあります。
けれど、今までの私自身のカウンセリング体験から、そこまで厳密に言わなくても、ある程度誰もが、自分の人間関係理解に役立てることができるように思います。
ですので、私流の解釈でセラピーの場に応用することもあります。
たとえば、兄弟間でいつも競争的な関係を強いられて育った人は、自分の「兄」くらいの年齢の上司に対して無意識に反発と競争心を抱きます。
そのため、どの職場でも上司とうまくいかない。しかし女性の上司だと案外うまくいったりする。
父が権威的だったり横暴だったりした場合、権威に対してつねに反発心を燃やす。あるいは逆に畏怖を感じる。
小さい弟、妹を世話してきた人は、部下や自分が庇護しなくてはならない対象を無条件に守ろうとする。
逆に弟、妹に愛情を奪われたと感じている場合、部下に冷たくなる。
これはほんの一例で、もっと複雑な表れ方をする場合もあります。
あまりパターン化はできません。
その人それぞれです。
ご自身の対人関係のなかで、「ここはなぜかいつもうまくいかない」と思うものがある場合、どんな人とうまくいかないかを客観視し、一度、養育環境を振り返って考えてみると、何かしら発見があるかもしれません。
それにしても、なぜ人間は過去に「イヤな思い」をした人間関係を繰り返すのでしょう?
無意識が、その負の体験を修正し、新しくやり直そうとしているという説もあります。
もしそれが本当ならば、私たちは、まずそういうパターンに気付く必要がある。
価値判断にとらわれず、自分の行動パターンを観察してみる必要があります。
さて、この「再演」は、セラピストとクライエントとの間でも起こります。
クライエントがセラピストに母親像を感じてなぜか反発したり、逆に母親と正反対の理想像を投影したりします。
これは逆もまたしかり。
セラピストがクライエントに、過去の人間関係を無意識に投影して何らかの感情に動かされたりします。
それを防ぐためにセラピストは長時間に及ぶ「自己セラピー」を受けます。
アメリカなどでは、プロのセラピストになるためには、これが必須とされています。
(ちなみに米国でプロのセラピストになるには、かなり大変なプロセスを経ないといけません。日本のように資格なくセラピストを名乗ってしまえるということはありません)
私も、自己セラピーで自分の問題をある程度解決してからプロになりました。
もちろん完全ではありません。
この歳になっても、日々気付くことの多い毎日です。
前に戻りますが、自分自身というものは、真空から生まれてきたわけではない。
いろいろな人間関係のなかで形成されて、「今の私」があるのです。
そんな自分のパターンを探索していくことで、現実の対人関係の問題点が新しい視点で見えてくる場合があるということです。
どうこうしようとするのではなく、ただ「気付く」だけでいい。
それだけでいろいろな変化が起きてくるのです。
「エナクトメント」「リエナクトメント」と呼ぶ人もいます。
精神分析、特に対象関係論の発展のなかから生まれてきた言葉のようです。
人は、人生初期に体験した人間関係のパターンを、その人生で繰り返す。
簡単に言ってしまえば、そういうことです。
もっとむずかしい説明もできますし、トラウマ的な出来事や治療者との関係に限定して語ることもあります。
けれど、今までの私自身のカウンセリング体験から、そこまで厳密に言わなくても、ある程度誰もが、自分の人間関係理解に役立てることができるように思います。
ですので、私流の解釈でセラピーの場に応用することもあります。
たとえば、兄弟間でいつも競争的な関係を強いられて育った人は、自分の「兄」くらいの年齢の上司に対して無意識に反発と競争心を抱きます。
そのため、どの職場でも上司とうまくいかない。しかし女性の上司だと案外うまくいったりする。
父が権威的だったり横暴だったりした場合、権威に対してつねに反発心を燃やす。あるいは逆に畏怖を感じる。
小さい弟、妹を世話してきた人は、部下や自分が庇護しなくてはならない対象を無条件に守ろうとする。
逆に弟、妹に愛情を奪われたと感じている場合、部下に冷たくなる。
これはほんの一例で、もっと複雑な表れ方をする場合もあります。
あまりパターン化はできません。
その人それぞれです。
ご自身の対人関係のなかで、「ここはなぜかいつもうまくいかない」と思うものがある場合、どんな人とうまくいかないかを客観視し、一度、養育環境を振り返って考えてみると、何かしら発見があるかもしれません。
それにしても、なぜ人間は過去に「イヤな思い」をした人間関係を繰り返すのでしょう?
無意識が、その負の体験を修正し、新しくやり直そうとしているという説もあります。
もしそれが本当ならば、私たちは、まずそういうパターンに気付く必要がある。
価値判断にとらわれず、自分の行動パターンを観察してみる必要があります。
さて、この「再演」は、セラピストとクライエントとの間でも起こります。
クライエントがセラピストに母親像を感じてなぜか反発したり、逆に母親と正反対の理想像を投影したりします。
これは逆もまたしかり。
セラピストがクライエントに、過去の人間関係を無意識に投影して何らかの感情に動かされたりします。
それを防ぐためにセラピストは長時間に及ぶ「自己セラピー」を受けます。
アメリカなどでは、プロのセラピストになるためには、これが必須とされています。
(ちなみに米国でプロのセラピストになるには、かなり大変なプロセスを経ないといけません。日本のように資格なくセラピストを名乗ってしまえるということはありません)
私も、自己セラピーで自分の問題をある程度解決してからプロになりました。
もちろん完全ではありません。
この歳になっても、日々気付くことの多い毎日です。
前に戻りますが、自分自身というものは、真空から生まれてきたわけではない。
いろいろな人間関係のなかで形成されて、「今の私」があるのです。
そんな自分のパターンを探索していくことで、現実の対人関係の問題点が新しい視点で見えてくる場合があるということです。
どうこうしようとするのではなく、ただ「気付く」だけでいい。
それだけでいろいろな変化が起きてくるのです。