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人間関係は思うようにならない

さて前回のブログで、人は幼児期の対人関係を「再演」すると書きました。

そこから容易に推測できることですが、普段の対人関係にもこの影響は表れますし、それは自分だけのことではない。

もちろん「再演」という要素だけではなく、人は新しい対人関係を結ぶとき、過去の自分の対人関係の影響を引きずっています。

ですから、「私」は必ずしも周囲の人全員に好かれるわけではない。
むしろ、こちらが相手になんの悪意も持っていないのに、妙に嫌われたりすることもあるのです。

たとえば、相手が中学生時代に自分をいじめた人に似ているというだけで嫌われることもある。
以前の意地悪な上司と口調がそっくりというだけで敬遠されたりもする。
毒親だった母と顔が似ているからと、冷たくあたられたりもする。
先入観で断定されたりもする。

逆を言えば、以前自分が慕っていた人と似ているというだけで、好かれることもあるのです。

対人恐怖の人は、自分のまわりのすべての人から好かれたいと思います。
対人恐怖がない人も、基本同じと思います。
できればまわりの人から好かれたい。

特に、日本の社会は、認められるためにはまず人から好感を持たれることが必要という風潮があります。
対人恐怖が多い所以です。

けれど、上記の理由を見ても、周りの人全員から好かれるのは容易ではないことがわかります。

もちろん、これは最初の印象のみで、その後相手に誠実に接し、積極的に好意を示していくことで良い関係になることも可能です。
ただ、これも100%というわけにはいかない。
人間関係は、思うようにはいかないものなのです。

つまり私たちがわきまえておくべきことは、「人間関係は、自分の思うようにはならないもの」だということです。

思うようにならない要因は、自分の側だけではなく、相手側にもあるのです。
ですから人に嫌われたとしても、それは自分のせいではない場合も多い。

それを何でもかんでも自分のせいにして、「自分の視線が変だから」とか「あの言葉で相手に不快感を与えた」とか原因を自分に探し、少しピントが外れた努力をするのが対人恐怖の始まりです。(部分的弱点の絶対視)

心にとめておくべきことは、「対人関係」は「目的」ではないということ。
その対人関係のなかで、私たちは何をしようとしているのか?
(必ずしも仕事や活動だけでなく、楽しむことでもいいのです)

それに目を向けて、現実の目的に注力していくときに、気になっていた対人関係が「悩み」ではなくなっていくこともあるのです。

薔薇紫

T.H氏撮影
プロフィール

Author:岩田 真理
心理セラピストをしています。臨床心理士。
昔は編集者をしていました。

森田療法が専門ですが、ACや親との問題は体験的に深いところで理解できます。
心のことだけでなく、文化、社会、マニアックな話題など、いろいろなことに興味があります。

もしも私のカウンセリングをご希望でしたら、下のアドレスにメールをください。
info@ochanomizu-room.jp

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