「ヤーロムの心理療法講義」
本日は、森田療法以外の精神療法の話。
あ、こう言ってもスルーしないでくださいね。
以前、私が翻訳出版した「ヤーロムの心理療法講義」が久々に重版されましたので、この著書のことを、また振り返ってみたいと思います。
ご存じのかたもいるかもしれませんが、アーヴィン・ヤーロム博士は米国の精神療法家。
主にグループ療法と実存精神療法とをメインに研究し、グループワーク、心理療法をなさっているかたです。
米国でヤーロム博士というと、超がつくほど高名ですが、日本ではあまり有名ではないようですね。
精神療法の著書だけでなく、小説も書いています。(例:「ニーチェが泣くとき」)
小説は日本でも翻訳されているものがあります。
さて、ヤーロム先生の「実存精神療法」とはどういうものか?
これは人間にとっての非常に重要な関心事「死、孤独、人生の意味、自由」に焦点を合わせた精神療法だそうです。
昨今、雨後の筍みたいに現れてくる精神療法と違い、あまり技法に重点を置きません。
フランクルの流れを汲む療法です。
この実存精神療法は、森田療法とも共通点が多いと、私は思います。
「死」「人生の意味」などについても、森田正馬は語っていますし、むしろその部分は森田療法の根幹のところでしょう。
「今、ここ」を大事にすることも同じですし、フランクルの逆説志向という技法も森田療法と同じです。
さて、この本の原題は「The Gift of Therapy」。
これから心理療法を志す人、心理療法というものを知りたい人のために書かれた易しい本です。
短いエッセイで構成されていますが、読んでいるうちにセラピストとしてのヤーロム先生の優しさに、どんどん惹かれていきます。
特に「63 患者に触れるのを恐れないように」などは、涙を誘われるほど感動的です。
私がこの本を必死で翻訳しているとき、どうしてもわからない箇所が出てきました。
飛ばして訳すわけにもいかず、意を決してヤーロム先生にメールしました。
結局それは米国のゴミ収集車のことだったのですが(笑)、先生はとても親切に丁寧に答えてくださいました。
それだけではなく、あるとき学会でヤーロム先生と親しい女医さんにお会いしたのですが、彼女から「ヤーロム先生が、マリさんは元気かしらと、言っていましたよ」と言われ、びっくりしました。
あんなおバカな質問をした翻訳者も覚えていてくれたんですね。
(追記:そういえば、森田療法の本を書いていることもアピールしたかもしれない・・・)
この本は、何か所かの日本の心理の大学、大学院で教科書として使ってくれているそうです。
臨床心理学を学ぶかたにはぜひ読んでいただきたい本です。
また学んでいなくてもカウンセリングというものに興味をお持ちなら、お勧めです。
(「まえがき」は飛ばしてもいいと思いますが、そのあとは小説のように面白く読めます)
私もこれを機に、もう一度読み直してみたい。
それにしても、当時はよくこれを訳し上げたものだと、我ながら思います。
今から一冊翻訳しろと言われても、もう無理だろうな・・・。

あ、こう言ってもスルーしないでくださいね。
以前、私が翻訳出版した「ヤーロムの心理療法講義」が久々に重版されましたので、この著書のことを、また振り返ってみたいと思います。
ご存じのかたもいるかもしれませんが、アーヴィン・ヤーロム博士は米国の精神療法家。
主にグループ療法と実存精神療法とをメインに研究し、グループワーク、心理療法をなさっているかたです。
米国でヤーロム博士というと、超がつくほど高名ですが、日本ではあまり有名ではないようですね。
精神療法の著書だけでなく、小説も書いています。(例:「ニーチェが泣くとき」)
小説は日本でも翻訳されているものがあります。
さて、ヤーロム先生の「実存精神療法」とはどういうものか?
これは人間にとっての非常に重要な関心事「死、孤独、人生の意味、自由」に焦点を合わせた精神療法だそうです。
昨今、雨後の筍みたいに現れてくる精神療法と違い、あまり技法に重点を置きません。
フランクルの流れを汲む療法です。
この実存精神療法は、森田療法とも共通点が多いと、私は思います。
「死」「人生の意味」などについても、森田正馬は語っていますし、むしろその部分は森田療法の根幹のところでしょう。
「今、ここ」を大事にすることも同じですし、フランクルの逆説志向という技法も森田療法と同じです。
さて、この本の原題は「The Gift of Therapy」。
これから心理療法を志す人、心理療法というものを知りたい人のために書かれた易しい本です。
短いエッセイで構成されていますが、読んでいるうちにセラピストとしてのヤーロム先生の優しさに、どんどん惹かれていきます。
特に「63 患者に触れるのを恐れないように」などは、涙を誘われるほど感動的です。
私がこの本を必死で翻訳しているとき、どうしてもわからない箇所が出てきました。
飛ばして訳すわけにもいかず、意を決してヤーロム先生にメールしました。
結局それは米国のゴミ収集車のことだったのですが(笑)、先生はとても親切に丁寧に答えてくださいました。
それだけではなく、あるとき学会でヤーロム先生と親しい女医さんにお会いしたのですが、彼女から「ヤーロム先生が、マリさんは元気かしらと、言っていましたよ」と言われ、びっくりしました。
あんなおバカな質問をした翻訳者も覚えていてくれたんですね。
(追記:そういえば、森田療法の本を書いていることもアピールしたかもしれない・・・)
この本は、何か所かの日本の心理の大学、大学院で教科書として使ってくれているそうです。
臨床心理学を学ぶかたにはぜひ読んでいただきたい本です。
また学んでいなくてもカウンセリングというものに興味をお持ちなら、お勧めです。
(「まえがき」は飛ばしてもいいと思いますが、そのあとは小説のように面白く読めます)
私もこれを機に、もう一度読み直してみたい。
それにしても、当時はよくこれを訳し上げたものだと、我ながら思います。
今から一冊翻訳しろと言われても、もう無理だろうな・・・。