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森田正馬の懐中時計

先般、森田療法保存会のメンバーで静岡県三島市にある「三島森田病院」まで出かけました。森田病院のなかにある「森田正馬記念館」を見学させていただくためです。

この病院は森田博士の甥御さんにあたるかた(養子になったかた)が、森田療法の伝統を継いで実践をなさっていたところで、現在も森田家の血を引くかたがたが関わっているところです。

記念館は普段は非公開。
こういうときしか中を見せてもらえません。

森田の直筆の日記とか、身の周りで使用していた品々、たくさんの色紙や写真が所蔵されています。

なかでも私が感激したのはこの品。

             懐中時計


これは森田博士の懐中時計。

「形外先生言行録」の田原あやさん(遠縁のかたで、三島森田病院で森田療法の指導をなさったかた)の記述に、こんなものがあります。

「先生のことをいろいろ考えていると、だんだんその仕事に意味のあることがわかってきます。先生がよく電車のなかなどで、時計を出して見せ、皆を笑わせたことをいまつくづく考えてみると、あれは今の広告をご自分でやってのけていられたと思います。いまはテレビもあるし、あの頃はまだそのようなわけにはいかなかったのです。だから『あれは誰だろう』ということです。『あれは森田療法の森田正馬だよ』と、いうことを一人にでも知ってもらうためだったのではないかと思うのです。」

この文章を読んでも意味がわからないままでした。

なぜ、時計を取り出して見せると、それが広告になるんだろう・・・と疑問のまま。

でもこの懐中時計を見て納得。

確かに鎖はついているから懐中時計だけれど、何でしょう、この大きさは!

ゆうに10CM以上ありそうで、なおかつ分厚い。
置き時計ほどの大きさです。

こういうものを電車のなかで懐から取り出したら、お供の人たちは笑う。皆が笑えば、他の人も見る・・・ということで、田原あやさんは「広告」と解釈したのでしょう。

こういうことが大好きですよね、森田博士って。

これは有名な乳母車の写真。

           乳母車

当時、車椅子とかはなかったのでしょう。

病弱な森田博士は、近所を歩きたいけれど、疲れるので乳母車に乗り、入院生に押してもらったのですね。

入院生はそれだけでも大変なのに、帰ってから「恥ずかしくなかったか?」と質問され、「いえ、恥ずかしくありませんでした」と答えようものなら、「恥ずかしくないはずがない。私でも恥ずかしいけれど外出したいから乗っているのだ」などと怒られるわけです。
(「純なこころ」でないから怒られるのですね)

その他、近くの野菜市場に行って、落ちているクズ野菜を拾わされて、周囲の人たちにからかわれたり(森田博士も一緒に行ったようですが)、入院生受難です。

こういう森田の行動は、過度に人の目や体裁を気にする神経質者にとっては「いやがらせ」のよう(笑)。

確かに森田博士はこういう一連の行動によって、神経質の人に何かを突きつけていたのかもしれません。

人の目ばかり気にして、自分を制限して、不自由さのなかで葛藤をつのらせている神経質者たちへの行動によるメッセージ。

「純なこころで恥ずかしがりながら」それでも、「自分は何がしたい? 自分は今何をするべき?」というところを、もっとしっかりとらえていこう。

きっとそんなメッセージだったのかもしれません。
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No title

懐中時計!初めて見ました。
重そうですね。


人のそばにいると、気づくことってありますから
先生は身をもってお示し下さったことが多かったようですね。

Re: No title

ラッパさん コメントありがとうございます。この懐中時計は、ふところに入れていたら相当重かったのではないでしょうか。森田先生は「自分の行動を見なさい」的なところがあったから、日常も全部オープンだったようですね。それはそれでとても大変だったでしょう。
プロフィール

Author:岩田 真理
心理セラピストをしています。臨床心理士。
昔は編集者をしていました。

森田療法が専門ですが、ACや親との問題は体験的に深いところで理解できます。
心のことだけでなく、文化、社会、マニアックな話題など、いろいろなことに興味があります。

もしも私のカウンセリングをご希望でしたら、下のアドレスにメールをください。
info@ochanomizu-room.jp

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