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醜貌恐怖に美人が多いわけ

たまには心理学の話をしないと、本当に仕事しているのかと思われてしまいますね。

私は森田療法が専門で、ということはつまり神経症に詳しいのですが、神経症には様々な症状があります。


そのなかに自分の顔が醜いと信じ込む醜貌恐怖というものがあります。
自分の顔が非常に醜いと悩む人には神経症レベルの人と妄想的な人がいますが、妄想的なかたは整形手術を繰り返したりします。
もっともこの頃は、整形手術も手軽になったようで、妄想的でなくても整形する人も多いのかもしれません。
醜貌恐怖とまでいかなくても、容姿コンプレックスで悩む人もいます。


で、醜貌恐怖のかたにお会いすると、殆どの場合、「これで自分の顔に不満?なんてぜいたくな!」と思うようなかたが多いですね。
どちらかというと、整った顔立ちの人が多いのです。
不思議ですよね。
でもこれにはわけがあります。


神経質でいろいろな症状に悩む人というのは、幼少期、学童期ぐらいのときに何かが「得意」だったり、何かでほめられたりという「黄金期」を持っている人が多いのです。
この「黄金期」については北西憲二先生の「我執の病理」に詳しく書いてあります。
この本は森田療法を勉強するかたには必読の文献ですね。


で、「黄金期」のことを醜貌恐怖にあてはめて考えてみると、この悩みを持つ方は、幼少期に「可愛い」とか「美人になるよ」とか言われていた経験があるのではないかと思うのです。
ところがどこかの時点で、意地悪な子に顔の悪口を言われたり、何か容姿の欠点を指摘されたり、自分で発見してしまったりする。
そうすると、今までの自信がそこで反転して、奈落の底に落ちたような気になるのです。
「私、本当は可愛くなかったんだ!」「こんな容姿じゃ恥ずかしくて人前に出られない!」


こんなに極端に反転するのも、つまりは、「容姿」ということが、その人にとって最高の価値になってしまっているからです。
それなので、自分の容姿に欠陥があるとか、テレビに出ている女優のように美しくないとなると、それで自分の存在価値がなくなるような気になってしまうのです。


で、そういう悩みとは別にただの「容姿コンプレックス」の人について考えてみましょう。別に容姿が不自由でなくても、なんとなく小さいころから家族に「おまえは不器量だけど・・」なんて言われていると、容姿コンプレックスになる人はあると思います。
でも、この場合、醜貌恐怖の人のように「容姿」が自分の存在価値になっていないので、そういう人は、「よし、能力で人に負けないようになろう」「ユーモアで勝負!」「話術で勝負!」とか、方向転換や変化が比較的容易なのではと思います。


つまり醜貌恐怖の人のほうが、自分の存在を「容姿」に賭けているので、悩みとしては深くてしつこくなります。なにしろ「絶対に人より美しくなくてはならない」のですから、そんな不可能な望みはかなうはずがありません。
それにこういう悩みの最中の人に、いくら「あなた、十分可愛いですよ」なんて言っても納得してくれるはずもありません。


美しくなければ人に愛されない・・・という強固な価値観を変化させていくのは、大変です。
何しろ、今の世の中、テレビ、映画、ポスターで、美しい人があふれています。
大抵の人は「目の保養」と眺めているだけですが、それをいちいち自分と比べていたら、心が休まるヒマがありません。


ではどうしたらその悩みを克服できるのか。
ブログではあまりに長くなりますので、詳細には書けませんが、森田療法で十分克服できると思います。


しかし、最終的には、その人が他者とのふれあいのなかで、自分の内面だけでなく相手の内面にも思いを馳せる能力を身につけたとき、「自分だけが醜い、自分だけが損をしている」という確信は、緩んでいくのだと思います。


容姿云々でなく、いろいろな境遇や困難のなかで、皆悩みもし、また楽しみを見出してもいます。
そういう他者の心を感じることができるようになったとき、その人は「自分」という固い殻のなかから、他者への共感へと踏み出すことができるのでしょう。


            
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プロフィール

Author:岩田 真理
心理セラピストをしています。臨床心理士。
昔は編集者をしていました。

森田療法が専門ですが、ACや親との問題は体験的に深いところで理解できます。
心のことだけでなく、文化、社会、マニアックな話題など、いろいろなことに興味があります。

もしも私のカウンセリングをご希望でしたら、下のアドレスにメールをください。
info@ochanomizu-room.jp

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