お金の話
今日は「お金」の話。
皆さまご存知かもしれませんが、森田全集5巻に「無料で習う事は、勉強する気になれない」というくだりがあります。
こんな趣旨です。
つまり、森田博士が昔、フランス語を教えてくれる人に習おうとしたが、ただでいつでも習えると思うから、ついつい怠りがちになって、やめてしまった。
「もしこれが、高い月謝を払っているならば、自分には、たとえ、さほどの興味はなくとも、その月謝がもったいなくて、ツイツイ勉強するようになる」と言うのです。
実は、森田診療所の入院費用は、当時にしてみれば、非常に高額だったそうです。
しかし、その頃は日本の(世界の・・と言っていい)どこにも、神経症を完治させてくれる診療所などなかったので、患者さんはお金をかき集め、背水の陣で森田診療所に入院してきたのです。
それなのに、入院すると作業をさせられ、「森田のところでは、患者をこき使っている」という批判もされたようです。
しかし、森田博士はそんな批判にもめげず、入院療法を続けました。
森田博士というのは、こういう人間の心理の機微を実によく見ていて、それを活用した人です。
つまり、それだけの費用を払って入院したという時点で、患者は「もとをとらなくては」と思っているし「変化しよう」という姿勢になっている。
そういう人たちが入院生活に入れば、とにかく「素直に」従って、それでいて前向きだったことと思います。
治療効果も上がります。
現代でも同じようなことがあります。
高いお金を払って英会話学校に入る、あるいはジムの契約をする(今、話題になっていますね。ものすごく高いジム)。
そうすると、その「高さ」が身にしみていますから、絶対に無駄にしたくないという心理が働く。
料金が安いところよりドロップする率は、低いのではないでしょうか。
(もちろんこの場合、裕福な親の金だったりすると、事情は違ってきます。あくまで身銭を切るという切実感が必要)
話は変わりますが、強迫性障害タイプの人は、お金に対して独特のこだわりがあるというのは、精神医学の世界では常識です。
「損か得か」ということに目ざといのですね。
別に悪いことではありませんし、森田的に言えば、その良い所を活かせばいいわけです。
私のカウンセリングルームにいらっしゃるかたのなかでも、お金のことをひんぱんに口にするのは、強迫タイプのかたです。
あるとき通っていたかたが、ひとまず落ち着かれて終結したとき、「また何かありましたらどうぞ」と言いましたら、「こんなバカ高いところ、二度と来られません」と、別に攻撃的な口調でもなく、ごく普通に言われました。
でもきっとそのかたは、必死で代金を払っていたから、セッション中も必死だったのでしょうね。
確かに真剣な感じはありました。
こんな森田博士の見方を考えると、安ければそれでいい、というふうにも言えません。
本当に自分が「ここぞ」と思うときには、高いお金を払って「自分を追い込む」ことも必要なのかもしれません。
お金のことひとつとっても、森田博士というのは、観察が鋭く、しかもそれを日常生活にうまく活かした人だと思います。
お金の話ついでに、当ルームは今年から値上げしておりますが、昨年末までに一度でも来室があったかたには、旧料金でカウンセリングしてまいりました。7月から一律で新料金になりますので、ご了承ください。
皆さまご存知かもしれませんが、森田全集5巻に「無料で習う事は、勉強する気になれない」というくだりがあります。
こんな趣旨です。
つまり、森田博士が昔、フランス語を教えてくれる人に習おうとしたが、ただでいつでも習えると思うから、ついつい怠りがちになって、やめてしまった。
「もしこれが、高い月謝を払っているならば、自分には、たとえ、さほどの興味はなくとも、その月謝がもったいなくて、ツイツイ勉強するようになる」と言うのです。
実は、森田診療所の入院費用は、当時にしてみれば、非常に高額だったそうです。
しかし、その頃は日本の(世界の・・と言っていい)どこにも、神経症を完治させてくれる診療所などなかったので、患者さんはお金をかき集め、背水の陣で森田診療所に入院してきたのです。
それなのに、入院すると作業をさせられ、「森田のところでは、患者をこき使っている」という批判もされたようです。
しかし、森田博士はそんな批判にもめげず、入院療法を続けました。
森田博士というのは、こういう人間の心理の機微を実によく見ていて、それを活用した人です。
つまり、それだけの費用を払って入院したという時点で、患者は「もとをとらなくては」と思っているし「変化しよう」という姿勢になっている。
そういう人たちが入院生活に入れば、とにかく「素直に」従って、それでいて前向きだったことと思います。
治療効果も上がります。
現代でも同じようなことがあります。
高いお金を払って英会話学校に入る、あるいはジムの契約をする(今、話題になっていますね。ものすごく高いジム)。
そうすると、その「高さ」が身にしみていますから、絶対に無駄にしたくないという心理が働く。
料金が安いところよりドロップする率は、低いのではないでしょうか。
(もちろんこの場合、裕福な親の金だったりすると、事情は違ってきます。あくまで身銭を切るという切実感が必要)
話は変わりますが、強迫性障害タイプの人は、お金に対して独特のこだわりがあるというのは、精神医学の世界では常識です。
「損か得か」ということに目ざといのですね。
別に悪いことではありませんし、森田的に言えば、その良い所を活かせばいいわけです。
私のカウンセリングルームにいらっしゃるかたのなかでも、お金のことをひんぱんに口にするのは、強迫タイプのかたです。
あるとき通っていたかたが、ひとまず落ち着かれて終結したとき、「また何かありましたらどうぞ」と言いましたら、「こんなバカ高いところ、二度と来られません」と、別に攻撃的な口調でもなく、ごく普通に言われました。
でもきっとそのかたは、必死で代金を払っていたから、セッション中も必死だったのでしょうね。
確かに真剣な感じはありました。
こんな森田博士の見方を考えると、安ければそれでいい、というふうにも言えません。
本当に自分が「ここぞ」と思うときには、高いお金を払って「自分を追い込む」ことも必要なのかもしれません。
お金のことひとつとっても、森田博士というのは、観察が鋭く、しかもそれを日常生活にうまく活かした人だと思います。

お金の話ついでに、当ルームは今年から値上げしておりますが、昨年末までに一度でも来室があったかたには、旧料金でカウンセリングしてまいりました。7月から一律で新料金になりますので、ご了承ください。