仕事ができる人とは?

はるか昔、私がまだバイトぐらいしか「仕事」というものをしたことがなかったころ、先輩の女性がコピーをとりながら「仕事ができるってこういうことなのよ」と教えてくれました。

たいそうなことではありません。
彼女は自分のコピーのとりかたを見てごらん、と言ったのです。

何枚か綴りのコピーを、彼女は最後の頁からコピーし始めました。そうすれば、出てくるものは、最初のページからそろっていてそのままホチキスすればいいわけです。
そのころはコピー機にソート機能とか、便利なものはついていませんでしたので、コピー以外は手動。
ほんの少し最初に気をつかうだけで、あとでそろえ直す手間がなく、仕事が早くなるわけです。

なるほど、こういう細かいところを考えるのが「仕事ができる」ということなんだ、と非常に納得したものです。

こういうことが「工夫」ということですね。
仕事でも勉強でも家事でも、自分なりの工夫ができる人が「仕事ができる人」なのです。

私はよく神経症のかたに「毎日のお仕事を今少し工夫してみたら」などと言います。

するとたいていの場合、「仕事は一応きちんとやっています」という答えが返ってきます。
こちらから見ると、それだけ症状のことで頭がいっぱいなのに、それでいて仕事が本当にきちんとできているのか、少し疑問に感じます。
でも「本当ですか?」などと問い返すのは、気の小さい私にはできないので(笑)またの機会を待ちます。

「一応きちんと」やっているつもりの仕事を、もう一回見直すのが「工夫」です。
実は神経症で悩んでいるときは、はたから見ていると、とても仕事が遅かったり、とるべき電話に出なかったり、ここは気をきかせてもいいだろうというところに全く気づかなかったりしているものです。
自分ではわからないだけですね。

自分は言われたとおりのこと、いつも通りのことをしているので、それで「仕事をしている」と感じている。
けれど時間短縮できるところで、自分の「完全にやって、気分をすっきりさせたい」という気持ちのほうを優先させて無駄な手順が多かったりします。
(これが気分本位と言われるものですね)

あとで失敗を指摘されたくないという気持ちのほうが強いので、人の何倍もチェックに時間をかけ、残業時間がいくら伸びても安心しなければ帰れない。
そういう人もいます。
チェックは大切ですが、これは仕事のためのチェックではなく、自分のためのチェックですね。

つまり「一応きちんとやっている」というのはたいていの場合、いつも通りの手順で同じことを繰り返し、いつものような時間をかけて、終わって帰る、ということなのでしょう。

ここに「工夫」を加えることを具体的に考えてみると、仕事は今よりもっと面白くなるかもしれません。

ただ決まりきったことをやるだけではなく、手順のここのところは省略できないだろうか、こっちを先にやったほうが能率的ではないかとか、コンピュータ内のフォルダの分け方を工夫しておくと必要なときにデータを取り出しやすいとか、この部分は部下にまかせたほうが早いかもしれないとか・・・そういうふうに考える。

勉強でも問題集をいつも最初からやってやりきれないで終わるより、一問おきにやっていけば、大体網羅できるし、時間が余れば飛ばしたものをやればいいとか。

家事ならば、全部を掃除しようとするから面倒になるので、一部分ずつ毎日少しずつやっていればいいとか。

工夫のしかたはいろいろあります。自分の創意にまかされている部分は意外に多いのです。

これが症状とどう関係するのかは、もうおわかりですよね。
こんなふうに「ものそのもの」になれば、当然仕事への興味は増大します。
そして自分のことばかりに注意を払う余裕がなくなってくる。

結果として症状など忘れてしまう。

そう、仕事ができる人になったときには、神経症は治っている。
一石二鳥ではないですか。


松江武家屋敷松江
 
                                          
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プロフィール

Author:岩田 真理
心理セラピストをしています。臨床心理士。
昔は編集者をしていました。

森田療法が専門ですが、ACや親との問題は体験的に深いところで理解できます。
心のことだけでなく、文化、社会、マニアックな話題など、いろいろなことに興味があります。

もしも私のカウンセリングをご希望でしたら、下のアドレスにメールをください。
info@ochanomizu-room.jp

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