イヤな感情ほど強くなる

本日は少しレクチャー風に。

いろいろなかたとお会いしていると、皆さん、どうも「イヤな感情、自分が感じたくない感情」につきまとわれて、苦しんでいらっしゃることが多いようです。

もちろん、イヤな感情は当然イヤです。
誰でもイヤです。

たとえば「恥をかく」ということは、人間誰しもイヤなことです。

自分が「あれは恥ずかしかった」という経験をすると、その後しばらくは、「わぁ、恥ずかしかったなぁ」と、頭のなかでその場面が想起されます。
そして、恥ずかしいという感覚がまたよみがえってきます。

その日、お風呂に入ったときにまた思い出し、思わず「わぁ」と声を出してしまったり、自分を罵ったり・・・。(笑) 
これは誰しも経験があることなのではないでしょうか。

ところが神経質の人はこれが長引く。
恥ずかしかった場面を思いだして、「あの時どうしたらよかったのだろう」などと考えたりします。
正確な言葉として覚えていないのですが、「人は自分が恥ずかしいことをしたとき、その場に居合わせて見ていた人までが憎らしくなる」と言ったのは、ドストエフスキーだったと思います。

そんな感じで、そのときの状況が再現フィルムのようにぐるぐると頭の中でまわるのです。

つまりそれは、そのときの感情をいじり、状況を思い出して反省するということですね。
そうすると、その感情はどんどん増幅されます。

当然のことですね。森田療法の「感情の法則」のなかにあります。
「感情はその刺激が継続して起こるとき、注意をこれに集中するときに、ますます強くなるものである」

その人に「強迫性」があると、この「感情増幅」をやりやすいのかもしれません。

ちょっとした出来事をイヤだと思うと、ついそのイヤな感じを思い出す。
思い出すと不愉快なので「あぁ、ダメダメ」などと消そうとする。あるいは、「あのときこうしておけばなぁ」とか、「あの人にはもう信用がなくなったかなぁ」などと、ありとあらゆることを考え、反芻する。

神経質の人の怒りが時間とともにどんどん高まっていったり、自己嫌悪がどんどんつのっていくのは、いつもこの感情増幅をやっているからでしょう。

反対に、楽しかったこと、愉快だったことは、そこまで思い出す必要もないので、すぐに忘れてしまう。

こう考えてみると、人間というのは、不快なことばかり印象に残ってしまうという心の作用を持っているものなのかもしれませんね。
残念なことですが。

さてそれでは森田はどう言っているでしょう。

「神経質は生の欲望に溢れているために、常に空想が多い」のだそうです。
そして自分で考えるのが苦しいことが「雑念」であると言って「空想」と区別しています。
「空想」も「雑念」も心の事実なので、そのまま浮かばせておくしかしかたがない。

良いも悪いもないのです。

それでは苦しい「雑念」を楽しい「空想」に変えればいいではないか・・・と思ったりしてしまうのが神経質者ですね。

そんなふうに頭のなかを操作しようとすると、もちろんのことながら、これが「感情増幅」になって、ますます苦しくなります。

ではどうするか? 実に簡単です。

「空想は、これを起こさないように努力すれば、煩悶苦悩になり、これを放任すれば限りがない。
 どうすれば調和ができるかといえば、普通の人は、自由に素直に、周囲の事情に適応して、気軽く活動し、立ち働いているからである。
 まず自分のことは、自分ですることが第一で、整理整頓、目につく用事は、イヤイヤながらでも、しかたなしに、すばやくし、人の応接も人並みにし、読書なども、目につくままに、ちょっと開けたところを、ところ選ばず読んでみるとかいうふうに、あまり予定や時間割をせずに、手早く腰軽くすることの修養をすることが必要であって、これによって、空想などは、なんでもなくなり、日常の実際ということの大切なことがわかるようになります」

ちょっと長い引用になりましたが、これを読むと「結局、森田ってこうなんだから・・」とか「もっと楽な方法があるんじゃないか」「単純すぎる」というご感想になるかもしれません。

でもね、このなかには、空想雑念への対処のほかに、完全主義の克服とか、空想から事実への移行とか、内的欲求の発現とか、ものすごく大切なことがたくさん含まれているのです。

実はとても簡単なことなんですよ!

森田はこう締めくくります。
「以上申し上げたことは、理解できなくとも、少しもさしつかえなし。ただその通りに実行なさりさえすればよいのです」


神田明神2

                      神田明神
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自分のことを尻軽くする、これが難しいです~

ソファーに横になったら、起き上がるのに一苦労ではきかないです(^-^;

寝たきりになります
夜だとそのまま朝まで寝てしまい、身体中が痛くなります(^-^;

土曜日に吐いたのはココイチのカレーによる軽い食中毒症状だったような気がしています
初めてのココイチのデリバリーだったのですが……

Re: タイトルなし

MEWさん コメントありがとうございます。起き上がるのが一苦労、寝たきりになってしまう・・・そうですね。疲れているときはそうなってしまいます。その状況はよくわかります。今はお身体の具合が悪いのではないですか?
MEWさんだけの話ではないのですが、どうも頭が発達した人は、簡単な行動の前にも「言葉」がはさまってしまうのかもしれませんね。「疲れているけどとにかくやらなくちゃ・・あぁ、きつい・・」etc.   それでますます身体は重くなる。
まぁ、衝動的ではないという利点はあります。

神経質・精神疾患と森田

香菜子と言います、はじめまして。私は精神病・精神疾患を持つ家族の介護問題で悩んでいます。病気の家族は被害妄想や自分勝手で自己中心的・非常識な言動も多いので、こちらも日々ストレスと心身の疲労を感じています。疲れているはずなのに夜中に眠れないことが多く、その時は必ずこれまでの自分の言動の反省で頭がいっぱいになって、ますます眠れなくなります。私のこれまでの自分勝手な言動で恨みを買ったせいで神様の罰が当たったのではないかしらとか、どうして頑固で融通がきかない性格になってしまったのかしらとか、際限なく頭に浮かんできます。このままでは自分まで精神病や精神疾患、人格障害やパーソナリティ障害になってしまうのではと思い、独学で森田先生の森田療法を勉強しています。まだ効果は実感できませんが、少しだけ気が楽になったように思えます、森田で。香菜子

Re: 神経質・精神疾患と森田

香菜子様  コメントありがとうございます。精神疾患のご家族を介護なさっているのですね。たいへんなご苦労と存じます。それで、いろいろお考えになって毎晩眠れなくなっているのですね。疲れてしまいますね。
考えすぎて人格障害になったり、精神疾患になったりすることはないですから、大丈夫です。でも眠れないのはつらいですよね。一度そのご家族のかたの主治医にでも、ご自分が眠れないことをご相談になったらいかがでしょう?
森田を学んでいらっしゃること、何よりです。きっと生活はよい方向に向くと思います。ブログを参考にしていただければ幸いです。
プロフィール

Author:岩田 真理
心理セラピストをしています。臨床心理士。
昔は編集者をしていました。

森田療法が専門ですが、ACや親との問題は体験的に深いところで理解できます。
心のことだけでなく、文化、社会、マニアックな話題など、いろいろなことに興味があります。

もしも私のカウンセリングをご希望でしたら、下のアドレスにメールをください。
info@ochanomizu-room.jp

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