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クセは生かす

前回は、直らないクセの話をしました。

しかし直らないクセは直らないままでいい。
ただそのままで現実に適応していけばよい。
それが森田療法の考え方です。

たとえば、私は締め切りが近づかないと本気モードにならないと言いました。
それでも、締め切りには間に合うように必死になります。
もちろん余裕を持ってものごとにとりかかるのがベターなのはわかっています。
しかしそれをこれから変えようとするのは、至難の業。

締め切りがあるとダッシュするという、その特性を生かせばいいわけです。

原稿とは別の例で言うと、私は本が好きなので、ついついたくさん本を買い込んで、結果的に「積読(つんどく)」で終わってしまうことが多い。
そのとき面白そうと思っても、なかなか読み切らない。

それでこの頃は図書館を利用することにしました。
どう利用するかというと、何か書評欄やネット情報、読書ブログで面白そうな本を知ったら、とりあえず図書館にあるかどうか調べて、あれば予約しておく。
そういう評判の本だと、たいていたくさんの人が予約しています。
それでもかまわず予約しておく。

図書館から借りる本は2週間という期限がついています。
その期限通りに返すためには、積んどくわけにはいかない。
長い時間待ってせっかくまわってきた本なのですから、読まないともったいない。

それで、一生懸命読みます。
読んだ時点で、この本は手元に置いて何度でも読みたいと思えば、買えばいい。

図書館で予約待ちをしていれば、手元に来る頃にはすでにベストセラ―ではなくなります。
でも、私の場合、別に仕事に使うわけでもないし、それで充分。
期限までには読むという自分の性格を利用すれば、たくさんの本が読めます。

では衝動的に買ってしまって、もはや積読状態になっている本はどうしたらいいか?
いつ読むかわからないのだったら、ブックオフに売る覚悟をすればいい。
「今度の日曜にブックオフに持っていこう」と思えば、「どんな本でどうして買おうと思ったか」と少しもったいない気がして、頁をめくる。
とりかかれば、やはり面白いと、読み始めることになるでしょう。

もっとベターな解決策は、本は買ったらすぐ読む、ということでしょうね。
自分は買った本を積んどく傾向があると自覚すれば、「すぐ読むしかない」と思えます。
「いつでも読める」と油断するから、いつまでも読まない。

他のことでもそうです。
「いつでもできる」と思うと、真剣にとりかかることができない。
「今しかない」と思えば、何事も身を入れて実行することができます。
だから私の場合は「締め切りが近いと本気モードになる」という特性を生かして、いろいろなところに締め切りを設ければいいのです。
自分だけの締め切りではなく、できれば社会的な約束事が入るようにすると効き目は大きくなります。

自分のクセを嘆いて理想に近づけようとするのではなく、それが実生活にがマイナスにならないように考える。
そのうえで、それを活かすことができるかどうかを考える。
「症状」もそうです。
それは、そのままでいるしかない。
ただ、そのままでいかに(症状という邪魔がありながら)実生活をやりくりしていくかを考えればいい。

そうすると、そのクセや症状は、いつか「困ったもの」ではなくなってくるのです。

紅葉2020

T.H氏撮影
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プロフィール

Author:岩田 真理
心理セラピストをしています。臨床心理士。
昔は編集者をしていました。

森田療法が専門ですが、ACや親との問題は体験的に深いところで理解できます。
心のことだけでなく、文化、社会、マニアックな話題など、いろいろなことに興味があります。

もしも私のカウンセリングをご希望でしたら、下のアドレスにメールをください。
info@ochanomizu-room.jp

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