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悪いことばかりじゃない

私たちは、どうも二分法が大好きなようで、自分の周りに起こってくる事柄を「吉凶」で判断して、「また、嫌なことが起こってしまった」と嘆いたりします。
それに、善悪判断も盛んで、別にそんな区別をしなくてもいいときも「良い、悪い」と言い立てたりします。


お子さんが引きこもりになったお母さんが「私の育て方が悪かったのでしょうか?」などというのが、そんな例です。
そうやって余計な罪悪感に沈んだりします。


大体、子供を引きこもりにできるほど、母親に力があるのでしょうか。
つれあいである父親の影響も大きいでしょうし、そもそも社会環境や文化が影響していることも考えられます。
いろいろなことの相乗作用で起こっていることのほうが多くて、家族の誰か一人のせい、ということなどありえないでしょう。


私たちが踏まえておきたいのは、起こってくるものごとは、すべてただの「事実」であり、現象であって、中立的なものだということ。
良いとか、悪いとかレッテルを貼るのは、とらえる人の主観だということです。


こういう例を出すと誤解されるかもしれませんが、昨年の東北大震災も、本当に大変な災害で、あのために生活を破壊されたかたがたが、膨大な数いらっしゃいます。

ところが、そのかげで、あの大震災をきっかけに生活を一変させた人たちもいるのです。
私の見聞きする範囲でも、震災をきっかけに社会参加を始めた、いわゆる「引きこもり」の人たちが数名います。
私の周りでこれだけいるのですから、全国では、もっと多いかもしれません。

彼らにとっては、文字通り「揺り起こされた」感じがあるのでしょう。
実はもう、外に出る用意は整っていたのかもしれません。
良いきっかけになったのでしょうね。

ボランティアに出かけた若い人たちで、人生観を一変させられた人たちもいるでしょう。
今までなんとも思っていなかった原子力発電所の怖さを知った人たちもいるでしょう。

心のことだってそうです。
問題が起きることが「悪いこと」とは限りません。

神経症が起きてくることは、「このまま、突っ走ったら危ないよ」というサインかもしれないし、自分にとって重大なことに直面できず、心が緩衝地帯を設けたのかもしれません。

トラウマによる乖離だって、自分にとって耐え難い記憶を和らげる意味合いがあるのかもしれません。

一見、「悪い」ことが起こっているように見えても、それを「悪い」と断定するのは、私たち。
特に心身のことは、身体の自然な流れに沿った現象にすぎないわけです。

何年かたってみると、その出来事の意味、解釈のしかたは、まったく違っていることもありえるのです。
何年と言わずとも、違う角度から見ると「悪いこと」と思っていることが、実は違う意味合いも持っていることも発見できる。

「悪いことが起きた」「私はなんて不幸なんだ」と嘆いて、奈落の底に沈むこともあるかもしれませんが、起こっていることは二分法では決められない。

実は、悪いことばかり起こっているわけではないのです。

あれがあったから、今の私がある・・と肯定的に見られる日が、きっといつかくるはずなのです。



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プロフィール

Author:岩田 真理
心理セラピストをしています。臨床心理士。
昔は編集者をしていました。

森田療法が専門ですが、ACや親との問題は体験的に深いところで理解できます。
心のことだけでなく、文化、社会、マニアックな話題など、いろいろなことに興味があります。

もしも私のカウンセリングをご希望でしたら、下のアドレスにメールをください。
info@ochanomizu-room.jp

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