ヒクメット「生きることについて」
以下に転載する詩は、「チェルノブイリ・ハート」で紹介されていたものです。
トルコ出身の詩人、ナジム・ヒクメット(1902~1963)のものだそうです。
「生きることについて」
1
生きることは笑い事ではない
あなたは大真面目に生きなくてはならない
たとえば 生きること以外に何も求めないリスのように
生きることを自分の職業にしなくてはいけない
生きることは笑い事ではない
あなたはそれを大真面目にとらえなくてはならない
大真面目とは
生きることがいちばんリアルで美しいとわかっているくせに
他人のために死ねるくらいの
深い真面目さのことだ
真面目に生きるとはこういうことだ
たとえば 人は70歳になってもオリーブの苗を植える
しかもそれは 子どもたちのためでもない
つまりは 死を恐れようが 信じまいが
生きることが重大だからだ
2
この地球はやがて冷たくなる
星々のひとつでしかも最も小さい星 地球
青いビロードの上に光り輝く一粒の塵
それがつまり
我らの偉大なる星 地球だ
この地球はいつの日か冷たくなる
氷塊のようにではなく
ましてや死んだ雲のようにでもなく
クルミの殻のように ころころと転がるだろう
漆黒の宇宙空間へ
そのことをいま 嘆かなくてはならない
その悲しみをいま 感じなくてはいけない
あなたが「自分は生きた」というつもりなら
このくらい世界は愛されなくてはいけない

(プロのかたの写真をお借りしました)
トルコ出身の詩人、ナジム・ヒクメット(1902~1963)のものだそうです。
「生きることについて」
1
生きることは笑い事ではない
あなたは大真面目に生きなくてはならない
たとえば 生きること以外に何も求めないリスのように
生きることを自分の職業にしなくてはいけない
生きることは笑い事ではない
あなたはそれを大真面目にとらえなくてはならない
大真面目とは
生きることがいちばんリアルで美しいとわかっているくせに
他人のために死ねるくらいの
深い真面目さのことだ
真面目に生きるとはこういうことだ
たとえば 人は70歳になってもオリーブの苗を植える
しかもそれは 子どもたちのためでもない
つまりは 死を恐れようが 信じまいが
生きることが重大だからだ
2
この地球はやがて冷たくなる
星々のひとつでしかも最も小さい星 地球
青いビロードの上に光り輝く一粒の塵
それがつまり
我らの偉大なる星 地球だ
この地球はいつの日か冷たくなる
氷塊のようにではなく
ましてや死んだ雲のようにでもなく
クルミの殻のように ころころと転がるだろう
漆黒の宇宙空間へ
そのことをいま 嘆かなくてはならない
その悲しみをいま 感じなくてはいけない
あなたが「自分は生きた」というつもりなら
このくらい世界は愛されなくてはいけない

(プロのかたの写真をお借りしました)
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